滴と器/
美味
れ}になった
私と私に似たものは
海の底に際限なく澱を積もらせ、いつか
天井から滴る水で
次第に碗のかさが増していく
畳は濃い緑色に段々と染まり
空になったスコッチは
忘れられないように
鈍く蛍光灯を反射している
私は力の入らなくなった右手を滑らせて
碗の薄い輪郭をなぞっては
水の中に指を浸す遊戯を
繰り返し繰り返していく
あああふれてしまう
水があふれてしまう
海があふれてしまう
いつかの日が
煙となって彼方へと
私という何かが
あふれてしまう
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