僕たちは声を押し殺して手をつなぐ/たもつ
 
局山積みにして
最後はもうわけがわからなくなっていた

広い農家の庭を同僚の子どもが走り回っている
一昨年身重だった奥さんの脚に幼い男の子がしがみついてる
あの時お腹にいた子ですね
声をかけると
人見知りが激しくて
雨上がりの蒸し暑さに額に汗を浮かべ奥さんは言った

帰り道スーパーを見つけお供え物を買った
小さなお菓子を二つ
妻はもう一つ買いたい、と言ったが
虫歯になるといけない、と言って諦めさせた
自分でも変なことを言った気がする
多分、何か面倒くさかったのだと思う
お花は良いのがなくて結局買わなかった

ガラスケースの中には沢山の金色の菩薩像が並んでいる

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