銀花 ?/木立 悟
空に流れては消えてゆく歌
冬の鼓動に
白の盲目に
他者を知らない目の奥に
銀の花は降りてくる
光の時計の前に立ち
影をつくり
針を止めても
流れは止まらず
星は隠れ
家は消え
芽の道は葉の道となり
やがて散ってゆく
水のむこうに
原のむこうに
風は原をつくりつづける
雲は動き
午後の青が遠くかがやき
あらゆる高みの在り処を示す
無数の宙宇が照らす夜に
光と雨は踊り絡まり
天から地から
人のものではない音が
いらだちとやすらぎを運びくる
銀にひらく花のかたちの
とどまることのないはじまりを
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