街/葉leaf
人の背中が街の青い空気に裂け目を入れている。人の一部は気化してその裂け目を出入りする。裂け目の奥では昼めいた祭壇が、硬い光に包み返されている。祭壇の上では討たれた臓器が、自らの内部をけわしく循環している。「ゆがんだ色を集めて、街の乳房を塗り分けようか?乳房をみたす樹液の濃度は俺を狂わせる。」臓器の表面はしばしば突起して、しずかに漂う時間の曲面を突き抜ける。臓器は告白する、街の粒子の秘された準位について。臓器は転出する、無数の場所が溜まっている同じ場所へと。気化した人の一部が臓器の管に入り込むと、そこは元の街である。だが人は、街の裏面に走るすべての燠火から、どろどろした影像を描きとってしまっている。
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