205号室にて/.
ることができたとしたのなら
僕や或いは君を含む僕以外の住人は
何故あんなにも笑顔でいられるのでしょうかね
街に出ていたアパートの住人は帰り道を急いで
いつの間にか雨のにおいはかき消されてしまって
僕のことは忘れてしまっている
僕も明日には忘れているのでしょうね
知らないふりが巧い住人は
子ども達を家に連れ戻して
知らないふりが巧くて
雨のにおいがして
君や君以外の誰かの
シャベルでお城を作って
君が、感じている
本当は何も知らなかったんです
「忘れているのでしょうね」
帰り道を急いで
手の 感覚 や においが乾く
幼い頃の彼等は 揺れる
白い眼 「赤いシャベル」電車の
僕以外の 鏡の 僕は
「何故、あんなにも笑顔でいられるのでしょうかね」
今日も雨は
僕等の作ったお城を崩して
少しずつ崩して、遊んでいるようです
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