エイチピイ/半知半能
 
がこだまして
こだました

月がのぼる

いつかくる
誰かを迎えるための
たのしい歌を練習して
短い一日がおわる
誰かがこない部屋には
明日も誰もこない
誰かがくる部屋には
明日も誰かくる
そういうことを
忘れないよう
いつか書いたメモが
部屋の隅で
くすんで

月がのぼる

少しの笑い声に
涙をながして
多くの生まれなかった別れを
惜しんでは
やってこなかった一日を
繰り返し
繰り返し
一呼吸に三千の祈りと
かなしみの既知感


欲望ということばの
ひたむきさ



風が運んできた砂粒には
知らない場所のにおいが



月がのぼって
雲が時間をきざむ
おぼろげに映った月の影が
部屋に落ちては
かき消えていった
 
 
 
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