銀花 ?/木立 悟
 



森は沈む
銀の花に
残響に
緋の笑みに
秋を穿つ泥まみれの羽に
森は沈む



鏡の乗りものに映る青空
死が飾られた街の隙間に
冬の色の海が見える
その鳥はとどろき
その空はかたむき
その浪は浪をついばみ
ひとつの海へと融け 分かれ 戻り
いくつもの風を乗り越え
街を冷たく照らす



川と道の行き着く先に
同じかたちのふたつの家が建っている
雲の上を飛ぶ見えない鳥の
灰色の影だけが地を舞っている
午後の空はまだらにかがやき
影はふたつの屋根を覆い
廃園に立つ子の手のひらを
銀の花に変えてゆく













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