銀花(序)/木立 悟
さまようものは変わりつづける
呼び声に腕をのばしつづける
風に手のひらをさらし
雲と火がつくる
灰色の羽を受け取ろうとする
となりあう炎がゆらぎ
ひとつとふたつをくりかえす
火の先端の白い影が
水のように土にゆらめく
夜の雨がたくさんの手をとり
闇の内の葉の道へと連れてゆく
天の鉛
野の月
雲の切れ間を走る虹
夜はひとつの巨大な水滴
山のむこうを照らす炎へ
まるくかがやく音が降り
上からも下からも光は応え
羽は灰に生まれ生まれて
葉は銀にうらがえり
空へ空へあふれでる
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