Die Forelle D550 Etwas Lebhaft/芳賀梨花子
 
西御門(にしみかど)のフレンチレストランで女友達と、春野菜のソテー、小鳩のロースト、ワインもまぁまぁ、早めに戦線離脱したわたしはデザートのメニュー。ルバーブのパイ。そういえば、今朝、谷川俊太郎詩集を読んでいたら倉渕村のことを書いた詩があった。上信越自動車道ができて、めったに耳にしなくなってしまった倉渕村。関越を富岡で下りて大学村に行く途中。きれいな川が流れていた。あの道を通って大学村まで、谷川先生も車を走らせたのだ。今、大学村は通過するだけ、もっと浅間山に近い、火山灰の大地に、わたしの家は移ったから、祖母が湿気を嫌がったから、いや、そもそも、資金繰りが苦しかったから、大学村の家は梅屋が買い取
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