いにしえ/山崎 風雅
 
 太陽の日差しが
 風に乗って運ばれる雲に
 遮られるように
 この気持ちも
 貴方には届かないんだね

 宇治川に浮かぶ中之島
 風はまだ冷たく頬を撫でる
 二人で寿司詰めをほおばって
 今年の夏に加速していこう

 太古平安貴族が愛した雅
 愛おしさと哀しみが
 時代を超えて時の壁を越えて
 今ここによみがえらんとする

 その息吹を感じ
 人肌の温もりを待ちわび
 浮船は宇治川にその身を投じた
 清く力強い流れに身をまかせた

 そう遠くない未来
 こんな男もいたんだと
 見つけてくれる人がいるだろうか


 梅雨に突入する直前に
 貴方に近づきたくて
 煙を吐いて走り去る

  
   古(いにしえ)の浪漫を求め白昼夢
     
       心豊かな時代に浮かぶ






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