[ 小波 ]/渕崎。
 
寄せては返す小波のように、
哀しみだけが胸を満たす。

何が哀しいのか、
何に泣きたいのかすらわからないのに、
ただただ
僕は涙にならない涙を流し
声にならない悲鳴を叫び続けるのだ。

なんて
滑稽で無様な姿だろうと、
何所か遠くから僕を見下ろす
もう一人のボクが嘲笑う。

何が哀しいのか、
何に泣きたいのか僕は本当にわからないんだ
ただただ
僕は言いえぬ不安と焦燥に
声にならない声を上げ泣き続けるのだ。

寄せては返す小波は、
今日も僕の胸を哀しみに満たしていく。

嗚呼、後生だよ、誰か僕を壊してくれ。
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