ファンタジア/松本 卓也
一人で眠るには幅広のベットで
空想の世界を泳ぐ夢を見ていた
僕が裏切った全ての人達と
僕を見捨てた全ての人達とが
互いに手を取って微笑んでいる
ありえない風景を眺める僕と
異なった視界から眺める僕とが
融合もせぬまま漂っていて
いつしか雲に足をかけて
ただ一人風を手繰っていた
普段の自嘲的な笑みも
孤独で自虐的な呟きも
風に溶けて散るうちに
言の葉が形を映して
やがて地に積り燃える
分かっているんだ
ここは僕が住む世界じゃない
心地よくなんてないけれど
少なくとも生きている時間は無縁
だけどそんな幻想を踏み越えて
もう少しリアルな世界へ
行きた
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