アモルファス、ピンクサーモン/カンチェルスキス
 
きだす」
「へヴィメタ?」
 ピーグル犬に男は訊いた。全力で訊いた。ピーグル犬は全力で答えた。「そうでもない」
「てっきりそうだと思ったんだけど」と答えたのはおれ。脱力気味に。
 電車が通り過ぎた。普通列車だった。生ゴミをそこそこ載せていた。朝の快速はぎっしり生ゴミを満載した。ネクタイはほとんど臭い靴下と言ってよかった。
「ぼくもそう思ってたんだ」と男。「こいつがへヴィメタじゃないことに気づいたのは、いまがはじめて」
「無理もないさ。黄色の信号はいずれ点滅することになってる。逆らえないよ。法事の行きしなにスクーター乗った坊主が麻木久仁子のことをふと考えたがために壁に激突して即死するのと
[次のページ]
戻る   Point(2)