散らぬ/
蒼木りん
萎れて帰る我が家の庭に
散ることのない
名も知らぬ紅のもみじ
さわさわ揺れて
ただ
さわさわと揺れて
それは母の
贈りもの
この言葉のどれも
そのもみじを見るわたしのこころに
あて嵌まらない
こんな石のごろついた庭でなく
整地された庭に植えたかった
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