母想う/山崎 風雅
 
 灰色の空は低く今にも泣き出しそう
 紅の夜へと向かう電車

 平日の午後七時
 皆は疲れ顔

 穏やかに欲求が満たされる日々を夢見て
 雑踏に紛れて運ばれる

 心の熱は冷めて瞳は乾いて
 暖かい団欒が待つ者もいれば
 インスタントで済ます者もいるだろう

 夜は誰にでも平等に優しく
 皆を包み込む

 黄昏時は人を詩人に変える


   夕暮れに疲れし日々の毎日の

      なぐさめ求め母想う




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