水の羽/
木立 悟
雨の天使が
岩の物語を読んでいる
静寂(しじま)と静寂(しじま)を
鳥の声が継(つな)ぐ
焼き捨てられた本の煙
地から天へ帰る雨
恵みの恵み
さらなる恵み
森のむこうを染めるむらさき
夜の青と支えの羽
まるくかがやく石を抱く羽
夜の熱と冷気を蹴立てて
光の浪が近づいてくる
ゆっくりと濁り まわる空気が
水たまりの上をうつり棲み
夜から朝へとつづく緑が
生まれたばかりのもののように震える
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