誇り/広川 孝治
嘲弄される、すなわち自分の尊厳を踏みにじる言葉に対して、憤りを禁じえず、命を危険にさらしてでも抵抗したいという衝動に逆らえなかった。この出来事を分析して、無感覚になった者でも嘲弄にたいしては心が反応する場合がある、と述べている。
人の心は、自尊心を守るためなら肉体や命を危険にさらす場合がある。逆にいえば、自分の命をかけてでも守らなければならないものがある、と感じている。その気概を捨てた時、人は余生を送るようになるのだろう。
そこまでして守る価値のあるものが自分の内面にあると感じている人が、どれだけいるのだろうか?それとも、肉体に宿る命こそが最も大切なものである、命を大切にしよう、という一見正しいがそれだけにとらわれると安っぽくなってしまう教育によって、心の命とも言える誇りは大したものではないと感じているのだろうか?
誇り、すなわち自尊心を失わずに生きてゆきたい。
戻る 編 削 Point(0)