スクリーミング・クイーン Part.2/佐々宝砂
が自分を殺そうとして密談していたり、
そのせいか、
明日にもテロが起きる気がしたり、
自分の真上に核兵器が落ちる気がしたりするのです。
だから彼女は、
キャー!と悲鳴をあげながら、
怖くてたまらないものに立ち向かっていきます。
自分は正しいんだ、
自分は強いんだ、
そう心に言い聞かせて、
勇気を奮って戦いを挑みます。
はた迷惑なスクリーミング・クイーン、
怖くてたまらないものをよく見てみれば、
歪んだ鏡に過ぎないのです。
映っているのは、
スクリーミング・クイーンの顔。
悲鳴をあげるその顔こそが恐ろしい。
でもそれだけが真実ではありません。
その鏡の裏にまわって、
隠れているものをよくよくみれば、
そこにいるのは怯えきった幼女。
無力で、
貧しくて、
おかあさんの優しい腕を夢みて泣いています。
はた迷惑なスクリーミング・クイーン、
怯えて、泣いて、
あたりかまわずナイフを振りたくります。
ああ。
可哀相な、可哀相な、可哀相な、
恐怖のスクリーミング・クイーン!
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