スクリーミング・クイーン/佐々宝砂
 
じゃないの アレ」

憧れのお姉さまから伝授された昔ながらの方法を
白い家の少女は試した
飾り気のないティー・カップに毒を盛るのはやめにして
飾り気だらけの演説に正義と神の雫を垂らした

もちろんそれは世界最恐最悪の毒薬

もうすぐはじまる爆撃に心弾ませて
スクリーミング・クイーンは笑っている
すでに緊張の走る爆撃予定地の上空
全天を覆い尽くすその幻の金髪
恐怖に唇を歪め悲しみに頬をひきつらせ
血みどろに笑うその悲鳴

白い家の少女も笑っている
高級そうなソファに身を横たえ
ポテトチップを食べながらニュースを見ている
ワイドなテレビ画面のなか
白い家の主が正義と神について演説している


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