異食同源/※
おいしそうなピザの表面には、とろけるチーズがアメーバのように触手を伸ばし、その際限無く広がり続ける指先は僅かに残っているトマトソースの海にまで注がれ、いびつに輪切られたピーマンの輪郭が、かろうじてそれを阻止しているに過ぎない。しかし、そんなピーマンの輪郭など存ぜぬ顔で彼等は乗り越えて来る。このグリーンラインこそがトマトソースの生命線であるにも、かかわらずに、だ。
留まることを知らないフロンティア精神に満ち満ちた食欲は、堰を切らんばかりに膨張し、膨張する欲求はチーズの甘くとろける食感の為になら何の躊躇も無くトマトソースの海を呑み込んだ、筈だった。だがしかし、味のバランスと食材の共存共栄を世
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