近代詩再読 立原道造/岡部淳太郎
 
十八歳の時で、『日曜日』が十九歳の時である。このへんの詩を読んでいると、若い才能が詩作への道を踏み出したその道のりを改めて辿り直しているような気分にもなってくる。前記二篇のうち、「僕は」の方は『さふらん』に現われていた「発見」の詩の系列に連なるものであるが、「暦」の方は後の抒情詩人の登場を予感させるものだ。
 僕の持っている岩波文庫版『立原道造詩集』には多くの拾遺詩篇が収録されているが、その中には生前に刊行した詩集に収められたソネットとは違う形式の詩もある。短い詩ではあるがソネットという定型からはみ出した自由詩もあれば、いくつもの章を連ねて書かれた長い詩もあるし、意外なことに散文詩さえある。詩人
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