近代詩再読 立原道造/岡部淳太郎
 
 勢いこんで始めてしまった「近代詩再読」シリーズ。前回は長い詩暦を誇る草野心平をとり上げたが、今回はいきなり立原道造である。草野心平は八十過ぎまで生きていた人だが、立原道造はわずか二十四歳で亡くなっている。実に対照的だが、別に深い意味はない。ただの気まぐれである。
 僕が持っている立原道造の詩集は一九八八年に初版が発行された杉浦明平編集の岩波文庫版である。年譜や解説の部分も含めると、総ページ数は四五〇ページを越える。立原道造の詩をたっぷり味わうことが出来て、非常にお得な感じがする。だが、これは僕だけの感覚なのかもしれないが、立原道造の詩は、つづけて読むと次第にこちらの感覚が鈍磨されてゆくような印
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