春のソネット/
セイミー
両手で耳を大きくすると
レールに乗ってやってくる
それは 子供が並べたりんごの列を
カタカナのように蹴散らしてやってくる
老木に耳を押し当てると
樹液も僕を聞いている
僕は掌にオレンジ色の汗を握りしめ
空を這う枝先を仰ぐ
陽光を小さくちぎって風に浮かせよう
どこからかミツバチたちがやってきて
小さな息の塊を背中に乗せて運んでいく
たましいが土を蹴り大きな空に抜けるなら
言葉になって追いかけろ
時の巡りは ほら すぐそこにいる
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