十字路の見取図/霜天
り返っても、いつも壁ばかりで
(まだ靴音は、反論出来るほどの響きを残しています)
まだ、春も来ていないのに
(僕らは今ここに、夏です)
支度のひとつも、出来ないままに
(君は窓から飛んでいくのです)
ひとり、地図を見下ろしています
その目で誰かのことを見てみます
いくつかの物語の終わった場所に、ばつ印を加えていくと
不思議と円になるのでした
誰かの忘れた小道具を
薄い西日に身につけてみると
違う自分になれる、ような
そんな気持ちは一瞬でしょうか
今も
十字路は十字路を呼んで
右に曲がった先には左の十字路があって
どこまでが十字路か、分からなくなってくる
とりあえず落ち着けようと
チェスをしようと
ひとり、思うのだけれども
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