十字路の見取図/霜天
 
もちろん、そこにはいくらでもあった


今を今として見てみれば、行き詰っていたのだろう
記憶にあるものを少し、震わせてみれば
確かにその街はどこに行っても
なにかしら行き止まっていて
そこに張り付いた影は、甘さや辛さ、酸味といったものまでも
おもちゃ箱をひっくり返したようなでたらめさで
孕んでいて
そこにいる、ということが
氷砂糖を飲み込んでしまった後の
いつまでも張り付く違和感
そんなふうに、君の胸にも残されているようで


耳を澄ませば、見えるんだと思っていたことが


十字路が、また十字路を呼んで
次を左に折れてもまた十字路がある
鳥の視線で見下ろせ
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