武鯛の缶詰/あおば
の中で死んだ
蓋を撃ち開ける人は
いつでも、どこにも居ないので
かんづめのままで
かんづめとなり
かんづめになる
居眠りをしているときに
缶蹴りする子どもたちに
蹴っ飛ばされすっ飛んで
空高く飛んでいったのは
何処の誰だったのだろう。
大政翼賛会編纂の
缶詰の歴史の中でも
ノーベル賞ものとして
絶賛されて
図案化されて
国旗にもなったので
居眠りするもの寄っといで
の声に痺れてしまって
命を無くすものが多くて
困るのですと。
シラタキの缶詰、
シーラカンスの缶詰、
大日本帝国の缶詰、
自堕落の缶詰が
一気呵成に
乱暴に
未完の缶詰を開けたがる
武鯛の缶詰
人気者。
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初出 めろめろ (32号2003/5/28発行)
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