真夏のラムネのような味の恋のお話/こめ
少年は汗をかきながら
夕焼け間近の商店街を
猛スピードで自転車をこぎ
君がいる駅まで全力で向かった
夏の太陽のせいで焼けた真っ黒な肌を
引きずりながら
何人もの人をすれ違い
もう思いつくことは君だけ
ありふれた気持ちを今すぐ伝えたいよ
最後の下り坂を音符より早く走り
駅に滑り込み
自転車を投げ飛ばし
乗車券も買わず
駅員も振りきって
もうすぐここから何万歩先の所に行く前に
伝えたいことが一つだけあるよ
君がいるホームを見つけ
君の名前を叫びながら
大量の汗など気にしないまま
君の所まで
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