君は花/山崎 風雅
 
 時を告げる鳥がやってきた
 蜃気楼のように昼は過ぎ
 夜の帳が降りる

 すすけた心
 渇いた涙
 行き先のない情熱

 生きること
 その難しさ
 不器用に今日を過ごす

 向かいのお爺さん
 
 「今日も雨やなぁ」

 せわしなく過ぎる夕方に
 自分の時間をもっているお爺さん

 僕には自分のお爺さんとの思い出がない
 
 ああ うたかたの日々よ
 得るものなんかなくて
 失うことばかりだ

 そんなに急いでどこいくの
 急かせないでよ
 もう少し休みたいから

 胸にやどりし思い出に
 今日は花を飾りたい
 色は黄色で
 派手じゃないほうがいい

 僕は夢
 夢は君
 君は花
 
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