夜(羽と目)/木立 悟
 



冬は起ちあがり
世界は染まる
風のない
夜の明るさからやってくるもの


輪の星の目を
時計の目が見つめる
舌 傷口 くちびる
ためらいのなかはばたく
夜の手の羽たち


合うもの
離れるもの
おがくずに落ちる火
乾いた肌を流れる血
休むことなく
虚(くう)をつかむ手


満ち得ないもの
人のなかにはないもの
ひかりかがやく堅い枠にあらがいながら
まわりつづけるもの


終わる日の透明が
濡れた目に星座を見せる
すべての色となる雪の
騒がしい旅立ちのほころびが
空へ空へと向かい
夜を言葉に変えてゆく











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