逝く、レタス/たもつ
 
先端のあやふやな人が
細長い話をしていたので
窓をもち歩く人が
そっと窓をしめる
何かが入り込むように
何かが出て行こうとするから

わたしは遅い夏の陸橋
レタスが逝った日のことを話した
その下を走り抜けるトラックの
荷台がきれいだったと話した

いのち
と言って先端のあやふやな人が
一番近い空をあやふやな先端で撫でると
閉ざされた窓の中で
わたしはまだ幼虫のように
子供であり続けた



戻る   Point(10)