けだもの行(冬の星)/
木立 悟
怒りを失い
怒りをさまよう
朽ちた腕 朽ちた拳
いのりのように
ねむりのように
土へ向かう
目覚めゆく音
水紋の音
高く堅く過ぎゆく音
聞こえない風の戯れに
冬は引き延ばされてゆく
無力の王に産み棄てられた
無力の姫が星雲を見ている
左目の泪にけだものは寄り添い
閉じかけた右目に季節はよみがえる
どうしてもおもいだせないものを
おもいだそうとするたびに
雨は赤子の星を濡らす
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