零/暗闇れもん
 
形のよい唇の君には
何も見えてやしないさ

抱く人形は限りなく広がる

0から無限大へ

時代に後れた着せ替え人形が山積みだよ、ほら

数の零が雨のしずくの意味でもあることが
今は、何よりも嬉しい

0だったはずの空洞が不安で埋まる前に
戻りたい、と思うか

誰かを無性に0から
求めたい、か

数は増す


燃え盛る見知らぬ家で
黒こげ人形にくちづけしよう

濁る目は焼き魚みたいにこりこり

普通であった死んだ目に

きっとそう

戻りたくないんだ

戻る   Point(0)