輝く彼と不倫をしている/春日響
意地悪な神様をこの手で殴りたかった
でも彼は毎日お祈りお願いしているのだ
神様 どうか彼女を救って!
あたしは膝を見るしかない
拳を硬くしているしかない
彼はとても誠実な人間である
あたしは傷つく
好きだけでは世界を回せないと
二度三度五度千度、何度も気付く
悔やむ
苦しむ
泣く
嘆く
叫ぶ
彼の腕に戻る
あたしと不倫をする彼が素晴らしい人間だと依然思う
かみさんが不憫でね
口にできる彼を尊敬する
あたしは堕ちていく
消えるべきだとただ自責の念
神様はどこにいるのですか
空の上ですか
そこへ行ったらば会えますか
文句を散々言えますか
けれど彼が手を合わせる姿
それで全てが消化する
輝く光に眩暈する
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