けだもの行(夜の青)/木立 悟
空の行先を見つめ
夜の晴れ間を歩む者たち
道をかすめる光に目ざめた
灰緑色の羽虫の群れ
傷のあたたかさにすがりつく
繰り返される雨のなかに
妨げの意志が隠されている
水を含んだ夜がうずまき
騒音を沈黙へと乱すために
誰かが赦した無音だけを響かせるために
低くゆっくりと近づいてくる
けだものが拙い仕草で
何かを呼び覚まそうとしている
塞がれた空の暗がりの
見え隠れする青いはざまに
雨の巣は集まってくる
夜は夜の四方をまわり
けだものは狩りの声を吐く
夜の上の夜に向かい
ただ遠去かる金色を聴き
けだものは雨を映した眼を閉じる
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