ポイ/ケンタロウ
ついていたの 君は
あの日の傘の中でキスをした
そんな昔のことなんて忘れたのかな
泥だらけの靴で
がむしゃらに走った
埃まみれのジャージ
校庭の夕ぐれ
君は
楽しそうに
学級委員の女の子とおしゃべりしながら
自転車で
校門を出て行った
僕は立ち止まり
君の影を追った
どこまでも
どこまでも
今夜の夏祭り行くのかな?
あの日と変わらない
そんな夕日が
今日も沈もうとしていて
僕は今年で24歳だけど
あのとき破れたポイはそのまま
あいにくの雨の動物園
売店でソフトクリームを買って
屋根の下で、舐めあったね
・・・今夜どうしようか?
・・・どうって?
僕らは黙った
そして鶯谷の
窓の外の雨をぼんやりと眺めていた
戻る 編 削 Point(1)