午後と明かり/木立 悟
 



ξ(クシー)の波が
中庭のまわりを
ひとくくり漂う
崩れることなく
水平線までつながり
微笑みのはじまりのように微笑む


謎が終わり
風が生まれ
緑を示し
目を細めさせる
痛みは明かり
岩の陰から
見つめる明かり


腰より座り
胸より立つ
雲に至るまなざしの
雲を越えるひと息の
緑なす緑なす波たちの行方


そそがれる色
そそがれる音
傷のある器の内を曲がり
見知らぬ言葉に
壁を濡らす


星になりかけている木
半分だけ 空に
持ち去られようとしている木
風の無い日
ささやく腕を
縦に縦にまわしている木


鉄を焼き切る青い光が
岩陰の片目を繙いている
水をわたる色とにおい
流れても流れても
空はうたかたとさかしまを吹く










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