逆立ちの位置/霜天
 
言葉を逆立ち、させてみても
結局、詩にはならなかった
考えてみれば当たり前のことでも
泣いている自分は誰、なのだろう
逆立ちした言葉は、はらはらと零れて
何でもないもの、になってしまう




ゆっくりと
断片
が迫ってきて
僕はとりあえず洗濯を始める
頭の上で瓦がカタカタと鳴るので
一枚だけ、そっと抜いてみると
屋根は屋根じゃなくなって
全てが剥がれ落ちてしまう
白いTシャツを、音がするほどに引っ張る
石鹸の匂い
眠れなかった記憶や夢の話
暖かい午後、という午後に
手を広げてみる

逆立ちをした後の手のひらは
まっくろ、というわけじゃなく
白か
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