ムスクの思い出/クリ
 
私が雨に濡れていたら、ずっと未来でも
傘を差し掛けてくれる?」

 約束はできない
 約束はしない
 約束は嫌いだ

雨が降っているのは今日だ
僕も、君もずぶ濡れだ
僕には一本の傘もない
そして君の体からまたムスクの香りがする
僕はこの香りを嗅ぎたいために
わざと傘を持ってこなかったのか?

「全然予想しなかったな」 何を?
「こんなに辛いって思わなかった」
そう言って笑った

 「僕はどんな匂いがする?」

「違う人の匂いがするよ」

 僕は…、
 僕は…、
 好きだよ…

 君の香りが


                          Kuri, Kipple : 2000.01.18
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