浜辺    (別れ話)/水在らあらあ
 
?.

 誰も傷つけないように
 貝殻を拾いにゆこう

 まだ潮が高いから
 ゆっくり 遠回りをして

        (神様の邪魔をしないようにはできないのよ)

 踏みしめる靴底に灰色の花が咲いて

 少しだけ暴れて
 少しだけ生と死の軸をゆすってみて

 風が舞い 砂が舞い
 雲が流れて 光が降り注ぎ
 
 息が詰まって

 愛(ああ)が みちあふれ
 

 ああ この空をなんて言い表せばいいのだろう
 ああ この空の色をなんて君に伝えればいいのだろう
 ああ この空の下で僕は

 君を抱きしめるふりをして
 君の首筋の匂いをかぐばかり
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