入眠前/蒼木りん
寝不足で
車の中で寝てしまった
倒れかけて目覚める
哀れな姿
明日のために
義理を立て
今日の自分のために
美味しい物は
隠れて
ずいぶんと
遠慮がちにしていたから
友達とは
何のためのものか
忘れてしまった
三時間以上
眠れたら
なんとかなる
そういう
魔法をかけて
人のそばにいて
人の記憶に残らないように
人の気に障らないように
消えてしまえばいい
いずれ
この正体
やさしいふりは
わかっていても
それでゆきましょう
わたしのなぞかけに
答えられた人は
まだ誰もいないから
こころの見える人は
たぶんきっと
わたしを泣かすだろう
さよなら
人らしくない
そんなものを探している
眠ったまま
肉体が
活動をやめていく気がする
なのに
ここに戻ってくるのは
遣り残したことがあるから
ならば
人の定めの通りに
わたしも
従うほかないのだろう
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