雫/
木立 悟
緑の雨
緑の壁
岸辺に立つ
にじみゆらめく影
曇の網
粒子の街
浅い水底で
世界を呑む鉱たち
空のわずかな光に
海はゆるみ はなひらき
熱の歪みの蝶たちが
遠くも近くも消してゆく
稲妻が地にとどくとき
眼差しに最初の雫を受けるとき
音を追う二度めのまばたきに
午後の砂銀は囚われる
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