詩はまだ倒れない/ブルース瀬戸内
 
はないか。

野蛮さを宿す人間の放つ言葉が
どこまで美しさと至高性を備えることができるのかを
とことこんまで追求すること、
これは人がこれだけ多彩な言葉を持ったが故の
宿命のようなものではないだろうか。

私たちは美しいものに惹かれる。

目に見えるもの、
あるいは目に見えないものの表層はもちろん、
その深層に潜む美しいものをも感じ、
そこから生まれる得がたい感覚を不意に何かしらの手段で表現し、
留めておきたくなることがある。

そうしたバーストした感情が
数多の芸術作品を生み出す原動力になるだろうし、
詩もその例外ではない。

誰かの、何かの
様々な感情のダイナモのようなものを
各人独特の技巧を凝らしながら露わにしたり、
なにか新しい感覚をすら編み出してみたり、
詩にできることは意外と多い。

まだまだ詩は、
倒れるわけにはいかない。
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