文房具屋まで/ZUZU
 
かなしいときはいつでも
文房具屋さんへゆくの
駅前のデパートの一階へ
夕暮れに自転車にのってゆくの

いろとりどりのペンで
ためしがきができるわ
あの人の名前を思い出さないように
一筆書きでなんとなく
ひよこの絵なんてかくの

ブルーなはさみで
心臓をハート型に切り抜いてみたり
透明のファイルに
切り抜いたハートをはさんでみたり
グリーンの下敷きを
あおいだそよかぜで紙ひこうきを飛ばしたり

文房具屋さんのアルバイトの女の子は
とっても可愛い
食べてしまいたいくらい
にくんでしまいたいくらい

えらんでもらった
封筒と便箋を
まっしろいトートにいれて
自転車ではしるわたしを
紙ひこうきはゆっくりと追い越していくの

さびしいときはいつでも
文房具屋さんへゆくの
でも手紙なんて書くあいては
もういないのよ



便箋をひろげて
しかたがないのでまた
一筆書きのひよこをかくのよ



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