スペルロゴス/美味
言葉を生んでは殺し
言葉を産んでは殺し
言葉を生かす術を持たない私は
神か悪魔のどちらかでしょう
そのためか
日常というカテゴリーの中では
思いのほか過ごしやすいのです
ただ
昨日食したライスペーパーに書かれていた
いくつもの詩の断片のようなものが
溶けて体の中を走り回っているようなのです
そして勝手に私の体を乗っ取って
空だの、月だの、海だの、夕陽だのと
見たこともない事ばかりを結うのです
心底、洒落た気分に浸りたいと願うのです
そこから産まれる生きた言葉というものは
人(私)のように身勝手で
不良というにはあまりにも無垢なので
並んで生活するには少しだけ窮屈に感じてしまうのです
汚さないようにと汚してきた手を見ると
やはり私は人間であることを
嫌というほど思い知らされるのです
砂海と呼ぶに相応しい広がりは
吹き荒ぶ砂嵐によって遠くへ
生きる源を追って空へ
スペルロゴス
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