エモーショナル/明日殻笑子
 
こんなにも虹彩の
心拍が上がる朝は
眠りつづけられぬ故に
眠ろうかと不意に問う

文明の利器は
平然としゃべりどおし
いっそ同じ喧騒の中で
かわいてゆこうと思う

静寂に胸をかきむしる程
青くも染まれない僕は
ブラックホールの存在を悟り
生まれたてのように笑った

見てくものすべてが
抗鬱剤のカプセルでも
「行く先は崖」という未来が
僕は好きなのだろう

燃えつきたような
闇色の蝙蝠傘をひろげた
星のない空に何故だか
春の中のあなたを見つけた

指先まで流れる
情のない血の色が
誰にも与えられている分
救い様が無い

こんなにも虹彩の
心拍が上がる朝は
次に瞼をひらくことで
すべてがなくなる夢を見ている

戻る   Point(1)