エモーショナル/明日殻笑子
こんなにも虹彩の
心拍が上がる朝は
眠りつづけられぬ故に
眠ろうかと不意に問う
文明の利器は
平然としゃべりどおし
いっそ同じ喧騒の中で
かわいてゆこうと思う
静寂に胸をかきむしる程
青くも染まれない僕は
ブラックホールの存在を悟り
生まれたてのように笑った
見てくものすべてが
抗鬱剤のカプセルでも
「行く先は崖」という未来が
僕は好きなのだろう
燃えつきたような
闇色の蝙蝠傘をひろげた
星のない空に何故だか
春の中のあなたを見つけた
指先まで流れる
情のない血の色が
誰にも与えられている分
救い様が無い
こんなにも虹彩の
心拍が上がる朝は
次に瞼をひらくことで
すべてがなくなる夢を見ている
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