空と色/
木立 悟
抜いてゆく
まだ誰も通るもののない
真新しい高架橋のまわりを
鉄色の風が過ぎてゆく
花びらの上で
呼吸する貝
はばたくばかりで
飛びたつことのない蝶のように
降りつもるかたちを
またたかせている
鈍と緑は二重の星に
あなたの背(せな)を染めている
指はやわらかく世界をつまみ
ゆるやかに離し 貶めてゆく
あなたの色は過ぎる色
とどまることなく過ぎる色
あなたの洞を染める色
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