折れずに伸びよ、タケニグサ/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
 
期休暇をもらったようなものと考えよう、とにかく楽しもう、そんな風に考えられるまでになっていった。
 そうやって散歩を楽しんでいた夏の盛りのある朝、私はたまたま家の裏手にある、雑草ばかりの手入れもされていない空き地に、一本のタケニグサを見つけた。
 子供の頃よくこれで遊んでいたなあ、と懐かしい想いが湧き、しばらくじっと見つめていた。まだ成長途中らしく、5、60cm程のものだったが、じき2m程になるだろうその草の成長を楽しみにしようと思い、その日からそいつに「タケ」と安易に名前を付け話し掛けるようになった。しばらくしないうちに「タケ」は見る見る大きくなっていき、いつしか私の背丈を越すようになった。
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