蝶/AKiHiCo
 
羽を捥がれた蝶は
飛べなくなって
身体を花の上に横たえ
蒼い空を眺めている
手を伸ばしても
もうあそこへは戻れない

さっきまで自慢の大きく美しい羽で
蒼に溶け込むように舞っていた
粉を振り撒いて
地上を歩くもの達を見下しながら

憧れ続けていた
あの空を美しい姿で
誰にも劣らない羽で
華麗に舞う事を
ずっとずっと

今はもう届かない
あの空は遠すぎて
呆気なく壊れた蝶の夢
儚い想いは己の羽のよう

冷たい風が吹いて蝶は
地面へ落とされた
あれほど見下していたもの達が棲む
その地面で蝶は呼吸をしている

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