鎖/まれ
 

部屋の隅から流れ出した水が
青く揺らめいて
わたしを覆ってゆく
もうなにも聴こえないように

もう何も感じないよ、とつぶやいてみると
すこし笑えた
口元からポコポコと
泡が出て行った

都合のいいことに
あなたの怒りも悲しみも
もう届かない
ふふふ、とわたしは笑う
この意地悪さと冷たさがわたしの欲しかった青
私の色、海と空にきらめく銀の青

あなたには
なぜ
あなたの怒りがわたし達に必要だと思えるの?
あなたの悲しみを
誰に味わわせようというの?
強くて大げさな言葉でひとを叩いて
ゆがんだ鎖で縛って
わたし達の海と空を汚した
きっともう
あなたの目には映らないよ
こどものころ見たブルー、鳥の涙、月のしずく、甘い光り
あの辛い夜を包んでいたのはあなたの不安なんでしょう?

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