Kちゃん/小鳥遊儚
 
わたしには、
愛すべき、
愛すべき人がいる。
その子を、ときどき ぎゅっと抱きしめる。

くやしさや、
かなしみを、
わたしは一緒に感じてやる。

ぎゅっと、力強く抱きしめる。

くるしみを、
さびしさを、
ふたりの体であたためる。

抱きしめると折れそうなからだは小さくて、
おとなの女のわたしはせいいっぱいの柔らかさで、
その子を抱きしめる。

ごめんね とか
もう大丈夫だよ と声をかける

するとその、つぶらな瞳はまっすぐに わたしを見上げる

『ありがとう、またね』
って、にっこりと笑う。

わたしのお腹のあたりには、
いまもまだ、その子のぬくもりがのこっている。

Kちゃんは、子供時代のわたしです。
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